Diary 2007-08
Passed days diary...
2007-08-08 / 陰陽座:魔王戴天(まおうたいてん)発売
陰陽座の新しいアルバムが発売された。
魔王戴天(まおうたいてん) : 陰陽座
「魔王戴天」は、10 曲入りのオリジナルアルバムで、前作のオリジナルアルバム「臥龍點睛(がりょうてんせい)」から、2 年ぶりに発売された待望の作品である。長らくベストアルバムやライブアルバムでオリジナルの曲を聴く機会がなかっただけに、ファンとしても待ち遠しいものであった。
先行発売のマキシシングル「黒衣の天女」でも触れたが、正に正常進化していると言っていい。ただ、全体を通して言えば楽曲のキャッチーさであるとか、歌謡曲的な要素はこれまでより減り、ヘビーメタル的な側面を力強く押し出した力強い作品と言える。逆にこれまでのキャッチーで歌いやすい歌謡曲的な側面も陰陽座の大きな魅力であったところもあるので、これがなかなか認めることができないファンもいるのではないか。しかし、個人的には、1 回聴くより、2 回、3 回と聴いていくとするめのように味が出て、耳に残り、このアルバムが非常に心地よいものであると感じられる。本作品は、全て作詞作曲リーダ瞬火(またたび)の手によるものである。
- 1.序曲(じょきょく)
- アルバムの序曲。和太鼓を思わせるリズムを叩くドラムとキーボードで、次の魔王(まおう)へ続く。
- 2.魔王(まおう)
- 組曲的に、展開しまくる表題曲とも言える曲。途中、変調、変拍子ありとなかなか凝っている。デスヴォイスあり、ツインヴォーカルあり、能や狂言のようなかけ声ありと陰陽座らしい佳曲。
- 3.黒衣の天女(こくいのてんにょ)
- 先行シングルで発売された曲。この曲は、今までのキャッチーさと言い、歌謡曲的な部分と言い、陰陽座の色を濃く残した曲とも言える。逆に言えばアルバムの中では浮いて聞こえるくらいキャッチーな「歌もの」の曲とも言える。カラオケ向きとも言えよう。
- 4.不倶戴天(ふぐたいてん)
- ギターリフが印象的なミディアムテンポチューン。こういう曲がこのアルバムらしい。
- 5.覇道忍法帖(はどうにんぽうちょう)
- 忍法帖シリーズは、これまで必ず黒猫(くろねこ)のヴォーカルのみで収録されていたが、今回そのこだわりを捨てたのか、曲が瞬火に合っているのか、瞬火がサビのヴォーカルを歌っている。このサビのヴォーカルを聴いていると、本当に歌い方が初期と変わってきたなあと思う。悪い意味ではなく。
- 6.ひょうすべ
- ここから妖怪シリーズが続く。この黒猫のヴォーカルがまた僕の好みでもあって、なんとも言えないいい感じ。シャッフルビートが心地よいノリノリ(何)の曲。
- 7.大頚(おおくび)
- ダークで怪しげなギターリフと、スロー変拍子な曲。怪しげな感じが出ていて非常にいい。
- 8.骸(むくろ)
- スピードチューン。これはいいです!!! ギターもかっこいいし、リフもいい。スピードも速く、頭も自然に動くと言えよう。
- 9.接吻(くちづけ)
- 黒猫ヴォーカルの甘い曲。切ない恋の歌は陰陽座には少ないが、この曲は珍しく直接的な恋の曲。
- 10.生きることとみつけたり
- 陰陽座のオリジナルアルバムの最後の曲は、彼らの古里である伊予の言葉の曲か、彼らの今の心境を歌にしたものなど、お祭りソング的なニュアンスなものが多い。今回も例に漏れず伊予弁で歌う曲。この曲調は、僕的にはアウトなんだけど、まあノリのいい曲ってのはあった方がいいんだろうしね。
全体を通すと、魔王の様な組曲的な作品や、黒衣の天女のようなキャッチーな曲、ひょうすべのようなどこか剽軽で楽しい曲、骸のようなスピードチューン、接吻のような甘いラヴソングなど表情豊かなアルバムであるしファンは勿論のこと、少し彼らを知っているような人でも安心して聴くことができる作品に仕上がっている。お勧め。