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図書館

小学生の頃、僕は図書館が大好きな少年だった。

インクや紙の匂い、静かに流れるその空気。緑の芝生に、木々が溢れた敷地内に白い壁にツタが絡まる小さな図書館。

上品な老婆が、「いらっしゃい」と笑顔で出迎えてくれた。

たくさんの「検索カード」。

「子供の科学」布の表紙の「のらくろ」黒い表紙の「シャーロック=ホームズ」怖い表紙の「江戸川乱歩」etc僕は夢中になって本を読んだ。その静かな図書館の中で僕は正にむさぼるように読んだのだ。何も知らない僕の頭にことごとく吸収されていく活字達。まだ見ぬ科学の世界や異国の地の空気を、それらの文から想像した。

そして、僕は中学生になった。小学生までの楽しみながら覚えていく学習ではなく、いい高校に、いい大学に進学するための学習に変化していく。テストの前には興味がない(本当に興味がなかったのだ)世界の歴史の暗記。現実にはありえない数字に関する公式・・・そして、図書館に行く回数は減っていった。

子供の頃には、目に入る全ての事象に疑問があり、好奇心があり、自然に学習していた。

いつから、現実に疑問をなくし、好奇心をなくし、学習しなくなったのだろう。

僕が、通った図書館はもうなくなっていた。緑の芝生に、木漏れ日。白い壁の古い図書館。

-01年2月日記より引用-

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