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妄想文
Last Modified : Sat, January 06 22:02:15 2018
2003-07-23 / 妄想文
貴方が颯爽とその車で現れたのは、黄昏の少し風が冷たく感じる夏の日だった。黒い車は少し大きめの排気音を立てて、私の目の前にゆっくりと優雅にとまったの。貴方は、その車から降りると右手を軽く挙げて、素敵な笑顔で私を見ている。そんな普通の光景でも、私はとても好きだったの。
貴方がすすめるまま、私は助手席に座り、低い車からの景色を確認する。ねえ、あの飛行機が降りるあたりに連れて行って。私がそういうと、貴方は何も言わずに頷き、静かに車を進めた。タイヤは音もなく転がり始め、私たちも同じ速度で移動を始める。飛行機は、夕陽を浴びながら黄金色に機体を光らせている。眩しいその光は、地上にいる全てのものを照射しているようだった。そして、空の上の人は私のことを知らないし、私も彼ら乗客のこと知らない。知らない人が乗る飛行機が私たちを照らすのだ。
車は、空港に向けて進路を進める。綺麗な指と手の甲がギアを操作をしているのを見つめている。この指で背中を抱いてくれたなら。私はいけない想像を打ち消すかのように、外に視線を移した。森林が見える。森林はこの夏の涼しさを不満に思いながらも、少しでも成長をしようと太陽に向かっている。しかし、太陽は規則的にその光を弱めながら、地平線に姿を消す。貴方がステアリングを回転させる度に、軽く揺れる私と貴方。その心地よい揺れに私は、いつのまにか眠りについていた。
とかいう展開希望。
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