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今回の人質事件によせて

Last Modified : Sat, January 06 22:02:00 2018 RSS Feed

2004-04-19 / 今回の人質事件によせて

イラクの人質事件を受けて、報道や Web 上で、批判的な意見が多いし、それに賛同する意見を耳にして思ったことを少し書いてみようと思う。

僕は、そういった批判的な意見を耳にしたり目にしたりする度に、嫌な気持ちになった。これは主観的なものであって、はっきりと自分の意思を以ってそのような意見を述べる人もいたかもしれない。しかしながら、三人が開放されてからの大多数の意見は、「自己責任」を盾にした、三人に対しての批判であったのは、間違いがないと思う。

事実を確認すると、彼らは、人を助けるか、報道各社に対して写真や原稿を売るために、危険を承知で現地に乗り込み拉致された。拉致を確認した政府と、彼らを取り囲む人々は、助けるために動いた(それが、いかなる方法であったにしても)。そして、拉致したイラク人は、宗教家の説得に応じ彼らを解放した。

イラクが、日本に比べて危険な土地であるのは、間違いがない事実であるけれども、日本においても安全とは言いがたい。日本で、拉致され身代金なり自衛隊の撤退なりを要求した場合、それは自己責任となりうるのだろうか。日本だって、誰も死なない犯罪も起こりえない場所とは言えない。ただ、確率の問題だ。

「自己責任」を掲げて彼ら三人を批判する立場の人は、もし、仮に日本で、レイプされた女性に対し同じように、「自己責任」を盾に責め立てるのだろうか。女性だから襲われたのだ。育ちが悪いから襲われたのだ。短いスカートを穿いていたから襲われたのだ。そう彼らは責め立てるのだろうか。犯人は、全く悪くない、被害者である女性が悪いと責め立てるのだろうか。そして、彼女の生い立ちや、家族までをも調べ上げ面白おかしく書いた記事を読むのだろうか。

イラクは危険な土地で、日本は比較的安全だという前提を無視している論点と言われるかもしれない。でも、拉致された三人も日本でレイプされた女性も一人の人間だ。最も責められるべきは犯人であって、被害者である彼ら彼女らを責めるより先にすることがないのか? と思う。今の報道や Web 上で見る意見の多くは、彼ら三人を責めることはあっても、犯人の非道さや理不尽さへの意見が欠如しているように思える。

ただ、僕は彼ら三人の責任が全くないとは言っていない。その行動力や勇気に対しては認めるけれども、彼らがイラクに行かなければならない必然性が乏しいのだ。日本にだって貧困に苦しむ子供もいるだろうし、助けるべき人々は無数にいるに違いない。報道すべき悪の実態だって日本にも無数ある。

僕が、「自己責任」を盾に彼らを批判する人々に対して、嫌な気持ちになる原因について考えてみると、やはりさっきのレイプのたとえ話になるけれど、犯人より先に、被害者である彼らを責める気持ちの方が先行しているだからではないかと仮定すると、答えに近づくような気もする。

IRC で、某氏が紹介してくれて少しだけど、話題に上がった漫画を見ると何かがわかるかもしれない。僕は、土手でわめく二人よりも、少女を必死で助けようとする人の方が好きだ。

通りすがり : 2004-04-20 00:51

いつも、じゅんさんの赤裸々な日記を楽しく読ませていただいてます。で、本題。

拘束とレイプ、どちらも許しがたい犯罪であり、犯人も許せないが、同一視するのはどうかと思う。

レイプは男(逆も然りだが)が一時の快楽を求めるために行う犯罪である。それに対して、今回の拘束事件は「テロ組織」が自分達の政治目標である「自衛隊の撤退」を達成させんがために3人を利用した犯罪。そして、レイプは防犯グッズなどで対処できることがあるが、今回の拘束事件は自らは対処はできない。銃を突きつけられたらオシマイである。

3人が叩かれるようになったのは、第一に、退避勧告を無視してまでも入国したということ。退避勧告には法的拘束力は無いが、昨今のイラクにおける騒乱を見れば、莫迦でも自分の身に危険が及ぶ可能性があるということが推測できるはず。また、最悪な事態を想定して、護衛を付けるなりすればよかったのに護衛を付けていなかった。

第二に、解放後のコメントや態度にも問題があった。解放に尽力をしてくれたイラク人聖職者に接する不遜な態度(聖職者の目の前での喫煙等)や、拘束されたとはいえ自分達が周囲に迷惑をかけたのを棚上げし「悪いのは自衛隊派遣だ」と政府批判とも取れるコメント。

第三に、家族側の記者会見での印象。家族が拘束され混乱していたとはいえ、家族のあの態度はどうかと思う。人間印象が第一です。最初の印象が悪ければその後の印象も悪いまま。

第四に、今回の拘束事件の不可解さ。2chにおける自作自演説はどうかと思うが、今回の事件は一番最初の犯行声明文など不可解なところが多い。

上記のことから、Web上や報道などで3人に対する批判が出てくるのは仕方ないことだと思う。

長文&乱文申し訳ない。これからも日記を楽しく読ませていただきます。願わくば、日記だけではなく小説のほうもよろしこ♥

イソムラ : 2004-04-20 11:12

確かに悪いことをする人が悪いわけですけれど、元を辿れば誰が悪いんだ?って話にもなってきますよね。イラクの方にしてみれば自衛隊も侵略軍かも知れないし、今回の拉致騒動もそれに対するアクションとしてみれば理解できなくない部分もあるわけで(納得できるかどうかは別問題ですが)。立場によって正しい・正しくないというのは相対的になりがちなので、そんな状況下で退避勧告の出されている国へ向かい、救出されてからも謝罪・感謝の言葉もなく「活動続けたい」ではしかめ面されて然り、とも思えます。何にしても難しい(複雑な)問題ではありますよね。

ジュン : 2004-04-20 15:37

>通りすがりさん
うんと、せめて名乗って下さい。折角の自分の意見なのであれば、名乗っていただければよかったのにと思います。通りすがりは通りすがりとしか思われないです。

僕の意見も筆足らずなのですが、彼ら三人を全く罪のない人間だとは思っていません。ただ、それらを取り巻く人々が、関係のない内容で責めているように思えるのです。なぜ単純に助かってよかったと思えないのか。救うために税金を使われたって、国民一人当たりいくらかかっているでしょうか? 僕は人が助かるのであれば、払える範囲なら税金も払っても構わないと思っています。そして、それに対し謝罪しろとわめき散らす人々が不愉快なのです。さっきも言いましたが、三人が全く悪くないと思っていません。でも、ある一方の国内の犯罪の被害者でも、それは一部については言えることだと思います。日頃の行いが悪い人が、交通事故で死んでもレイプされて自殺しても今回のような報道や周りの反応はなかったと思います。

結局のところ、人々は騒ぎすぎだし、「たまたま」悪い部分に目を向けられて、それを報道する側にも問題があると思います。あるいは、煽りに乗っている人が多すぎるように感じます。政府が悪いだとか小泉が悪いなんて話は、チープすぎるのでしたくないのでしませんが、僕は、そういう、感情で人の価値観を決めつけ、虐げる姿勢が気に食わないのです。

小説というか、読み物は、また書きたいと思っています。気長にお待ちになってくださいね。

>イソムラさん

「それでも、私は現地に残って活動を続けたい」と言う彼女の姿勢には、僕もどうかと思っています。今行かなくてはならない必然性を感じないからです。せめて日本人が丸腰で歩ける治安になってからでも遅くはないのに、あの発言はどうかと。

今回のエントリーに関して、僕は、「自分がどうして彼らを不愉快に感じるか」ということを材料にしているので、あるいは人によっては、僕に対して不愉快に感じ得るものだとはわかっていますけど、あまりに多くの意見が、報道よりというか、そのような立場だったので、書いてみたくなったのです。イソムラさんのエントリーも読ませてもらいました。

イソムラ : 2004-04-20 16:11

彼らは助かったし、とりあえず人質は解放されたし、ということは良かったのですが。危険地域へ向かう必然性とかを考えると疑問点は多々ありますし、しかもまだ何もコメントもないわけで……というのはもやもやし続けますね。

わたくしのダメエントリーは、便乗して叩いてみるとか「俺は前から思ったぜ」なんて件に関しての言及っぽいアレなので、こういう視点の記事は面白いと思います。叩かれ覚悟で頑張ってください!(無責任)

ジュン : 2004-04-22 00:42

うむ~。やっぱ僕の書いたものは叩かれたりする類の意見なんですかねぇ。まあ、主流にあわせる必要はないんですけど、やっぱ思うものは思うものでしょうがないんですけどね。

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