スターソルジャー
スターソルジャー。1986 年に、札幌に本社を持つハドソンが、任天堂ファミリーコンピュータ用に発売したシューティングゲームである。1986 年。僕は 12 歳。小学生で、無邪気で、そして、貧乏だった。当時ファミリーコンピュータは、同級生の誰もが持っていたし、スーパーマリオブラザーズなどで、人気は大沸騰していた。しかし、我が家はとても貧乏で、ファミリーコンピュータを購入することができなかった。だから僕は、街のおもちゃ屋さんに行ったり、友達の家に遊びに行ったりして、遊んでいたのだ。
スターソルジャーは、当時 16 連射をする高橋名人の宣伝活動で、とても流行していて、その軽快な音楽や豊富な敵キャラクター、そして、適度な難易度で大いに僕の友達の中でももちろん流行った。
でも、やはり自分の家ではできなかったので、僕はあまりうまくはならなかった。友達は、全ての面をクリアしたりしていた。負けるものかと攻略本を立ち読みして、おもちゃ屋さんで腕を磨いたりしたのだ。
そんなことも忘れていた中学に入ってからの、ある日。母がファミリーコンピュータを買ってきた。当時は、すでに PC エンジンが流行っていたし、ファミリーコンピュータは廃れかけていた。僕たち兄弟三人は、貧乏だったあの頃にとても遊びたかったそのファミリーコンピュータの真新しい筐体に、嬉々としたのだ。母の優しさが、僕たちにはわかったから。
「ごめんね、やっとお前たちが欲しがっていたものを買ってあげられたよ」
そして、僕たちは廃れかけたファミリーコンピュータのソフトを周りの友達から借りまくって、遊んだ。僕の大好きなスターソルジャーも遊ぶことができたのだ。もうおもちゃ屋さんまで行かなくてもいい。友達に遠慮しながら遊ばなくてもいいのだ。
僕にとってのスターソルジャーは、そんなほろ苦い思い出のゲームだった。