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Lunatic Moon 3

Last Modified : Sat, January 06 22:02:40 2018 RSS Feed

2002-06-08 / Lunatic Moon 3

「え? 今日会ったばかりの男の人とお風呂に一緒に入るのかい?」

「寂しいの。ねえ、一緒に来て」彼女は泣いていた。下を向いて青い絨毯に涙が落ちる。

「わかったよ。先に行ってて」

女の子を泣かせる趣味はないが、今日会った女の子と一緒にお風呂に入るとは思っていなかった。僕は混乱した。混乱しながらも、何かを期待している。自分が嫌になる。

バスルームには、大きなバスタブと白い桶と、あまり高そうではないプラスティックの白い腰掛があった。彼女は、シャワーを上から浴びていた。暖色系の照明で、彼女の肢体は艶っぽく動いていた。長い髪は、肩にはりついて湯を背中に導いている。背中は静かな曲線を描いていた。臀部は、柔らかく膨らんで足の付け根につながる。タイルの床には、彼女の体を洗い流して落ちた泡と湯が音を立てて落ちていく。僕はそんな様子を眺めながら、バスタブに浸かる。湯はまだ腰の高さにしか溜まっていなかったが、シャワーの湯のおかげで寒さを感じることはなかった。

「綺麗ですね。お姫さま」

「そう。ありがとう」顔を洗いながら、答える。

彼女の一通りの作業が終了したらしい。僕がかわりにシャワーを浴びて、彼女が、バスタブに浸かる。もう既に肩まで浸かることができるほどに、湯は溜まっていた。僕は、腰掛に座り、いつもどおりの順番で髪を洗い、顔を洗い、髭を剃り、もう一度顔を洗い、最後に顔を洗った。彼女は、有線で流れているクラシックを聴きながら、目を閉じていた。

「終わったよ」

「うん。先にあがってて」

やれやれ、わがままなお姫さまだ。僕は、銀色のノブを回し、脱衣室でタオルで体を拭くことにした。タオルは、硬く乾燥していて、僕の体の水分を吸い取った。正面にある洗面鏡に映る自分の裸体を眺めていると、幾分腹が出てきたように感じる。ああ、僕にも年齢相応に、以前スマートだった体に脂肪が、与えられるようになったのだ。バスローブを着て、僕は部屋に戻ることにした。

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