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Lunatic Moon 5
Last Modified : Sat, January 06 22:02:39 2018
2002-06-10 / Lunatic Moon 5
「起きてるかい?」
「うん」
「もし、君が嫌でなければでいいんだけど、なぜあんなところに裸で座っていたのか教えてくれないか?」
「いいよ。ねぇ、デリヘルって知ってる?」
「なんか聞いたことがあるね。よく知らないけど」
「そう。もしかしたら貴方みたいな人には縁がないかもしれないけど、簡単にいうと、お客さんのところまで出前に行くヘルスみたいなものよ。ヘルスは、貴方も知っているでしょう?」
「ああ。たぶん」
「私は、デリヘル嬢なの。そして、あの時も仕事中だった。お客さんにこのモーテルまで会いに来て、お仕事をして帰るところだったんだけど、こんな山奥でしょう? だから、その人の車に乗せてもらって、あのパーキングに寄ったの。彼は、私にここで降りるように行ったわ。裸でね。夜だったし、周りに車もいなかったし、彼少しお金をくれたから、裸になって、車の外に出たの。そういう趣味の人なんだろうって。」
「いろんな趣味の人がいるもんだね」
「そうよ。男の人って、風俗とか行くでしょう? 勿論全ての人が行くわけじゃないと思う。でも、デリヘルなんか使う人ってやっぱり、そうそうモテル感じの人じゃないわね。そもそも、かっこいい男の人は、彼女や奥さんとか、場合によってはそれ以外の女の人とセックスしたりするじゃない。だから、私が仕事として会う人たちは、かっこいい男の人はいないわね」
「そう言われてみれば、そうかもしれないね」
「そう。そして、いろんな男の人がいるわ。例えば、”何もしなくてもいいから、僕の前でうんちして”とか、”僕はひとりでするから、君はハイヒールでケツを蹴飛ばしてくれ”とか、そんなの。彼らには、いろんな性欲の形があって、私は一所懸命、それを具現化するの。女王様がいい人には、女王様、いじめたい人には、可哀想な娘を演じるの」
彼女は、吸殻いれの隣の僕のタバコを取り出し、ライターで火をつけた。彼女の顔が、暗闇に一瞬浮き上がり、あっという間に暗闇に戻った。そして、赤い灯りが、ホタルのように暗闇の中で踊った。
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