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bakery 7
Last Modified : Sat, January 06 22:02:36 2018
2002-07-31 / bakery 7
結論から言うと僕は、彼女を抱いた。いや、むしろ抱かれたと言った方が正しいのかもしれない。彼女は大人だったし、僕は幼かった。そして、僕はあまりにも何も知らなかった。こんな会話をしたことがあった。場所は恐らく、僕の家。
「ねぇ、メイはいくつなの?」
「うーん。マサキを産める歳よ」
「えっ!! そんなに見えないよ。若いね」
彼女は本当に若く見えた。でも、それは僕が若すぎて、歳を測る定規のめもりの精度がすごく低かったのかもしれない。
「ありがとう」
彼女は、メイと呼んでと言った。明子と書いてアキコと読んだけれど、明をメイと呼んだら喜んだ。子供もいて、男性は、夫とパン屋のお兄さんくらいしか話さない女性には、愛称で呼ばれるのは嬉しかったのだ。メイと呼ぶと、子供のように僕に甘えてきた。僕の決して厚くはない胸に、そっとキスをした。
そして、何度かの夜を経て、僕は彼女のマンションへ誘われた。
「うちの人が、出張でいないのよ。もちろんあの子はいるけどね。一緒に遊んであげる名目で呼べばあの子も怪しまないわ」
「うん。わかったよ」
その日も、いつもどおりパン屋のアルバイトを終え、彼女の新しいマンションのオートロックのボタンを押した。
「ピンポーン」
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