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博多方面出張 1

Last Modified : Sat, January 06 22:02:33 2018 RSS Feed

2002-09-10 / 博多方面出張 1

午前 7 時にけたたましい目覚まし時計の音で、目を覚ます。爽やかな朝の空気と、家の前の幹線道路の車の排気音が窓から聞こえてくる。福岡に行かなくてはならない。僕は、昨夜の就寝時間が遅かったことを今更ながら後悔して、身体を起こす。そうだ、朝なのだ。もう眠ることは許されない。

僕は、昨夜用意しかけたスーツケースの残りの足りないもの、下着やらなにやらを放り込み、髪を整え歯を磨き、顔を洗い用意した。昨夜飲み残したビールの空き缶が机の隣にある。

スーツケースを抱えて僕は、Prelude に乗り込んだ。朝の東から差す日差しがとても眩しい。朝の空気を胸いっぱいに吸い込んでから、キーを挿しエンジンを始動させる。今日も Prelude は、問題ない。僕を千歳空港まで連れて行ってくれ。そう、彼に問いかけると、彼は静かに歩みを進めた。

朝の高速道路は、思ったより混んでいて、僕は追い越し車線を 140km/h 前後で、前走車を追いかけることになった。時間は決して余裕がないので、僕は少し焦っていた

千歳空港に到着したときには、搭乗手続き開始時間からおよそ 5 分が過ぎていた。小走りで、全日空のカウンタまで向かい、自動手続きの機械で搭乗手続きをする。しかし、何かが悪かったのか、カウンターまでお越し下さいとのメッセージ。ああ。面倒だけれども、飛行機に乗れないことはないから、ゆっくりとカウンターまで歩く。カウンターで、受付の女性スタッフに「搭乗手続きができなかった」旨を伝え、搭乗券を発行してもらう。そして、搭乗口まで向かった。

搭乗口を越えて、喫煙所にて煙草を一本吸いながら今日の、福岡を思った。恐らく、札幌の気温よりも高いのは間違いなさそうな予報だった。当たり前だ。札幌は、日本で北に位置し、福岡ははるかに南に位置する。僕は頭の中で日本地図を思い浮かべた。福岡? 福岡の正確な場所が思い出せない。いや、知らないのだ。

午前 8:30 発、羽田空港行の飛行機に搭乗し、飛行機の座席につく。窓側の狭いシートに腰を落ち着けると、サラリーマン風な紳士が隣に座る。彼もまた仕事で、札幌から東京に向かうのか、札幌から東京に戻るようだ。僕は、彼に一礼して座席ポケットにある全日空の雑誌に目を通した。北京の大学についての話が載っていたけれど、僕の興味を刺激するような内容ではなかった。

飛行機が離陸し、千歳の町並みが雲の中に消えてしまうと、僕は眠ることにした。昨夜の夜更かしと(それはいつものことであったけれど)、普段の疲れと、今朝の早起きに、僕の身体は睡眠を欲していた。白い雲が、視界の下に見える。それは綿飴のようにふわふわしていて、太陽に光を浴びて輝いていた。そして、雲の彼方には、言葉では表現できないような青い空が見えていた。僕は、そんな空の上の空を見ながら、ゆっくりと目を瞑った。

羽田空港に到着してから、空を確認すると、なんだか憂鬱な空だった。白よりも少し黒い、限りなく白に近い灰色。そんな色だった。そんな空を眺めながめていると、飛行機は停まり、隣の紳士も頭上の荷物入れから、自分のスーツケースを降ろした。僕は、その後を追って、荷物を降ろした。ずっしりと来る重さが、その後の仕事の重さを物語っている気がした。

羽田空港の待合ロビーで、友達に携帯電話からメールを送信する。気遣うメールに安心して、返事をしていると搭乗手続きが始まった。待ち時間は 15 分しかないのだ。これを機に、マイレージサービスに申し込むことにして、仮のカードでマイレージを貯めて、搭乗手続きを済ませる。僕は考えてみたら、結構出張で飛行機に乗っている。いつか、日本のどこかに好きな時に、好きな場所へ。そんなのもいいかもしれない。

羽田空港から、福岡空港へは、ほとんど寝て過ごしてしまった。飛行時間はおよそ 1 時間 20 分。あっという間だ。寝ていたならなおさら。

福岡に到着し、搭乗口を降りると熱気が僕を襲った。当然のことで、予想もしていたけれど、やはり暑い。暑いからといって、仕事から逃れられるわけではない。諦めて僕は仕事をした。

仕事をこなす…

仕事を終えて、私の会社の九州支店の課長と福岡市内の串焼き屋で、ビールを傾けつつ食事。夜の屋外は、すこしだけぬるくて、でも汗を飛ばしてくれる風が吹いていた。ビールを飲んだ身体は、少しだけ冷めて、少しだけ酔った自分を感じさせる。そして、それが非常に心地よかったりする。

ホテルに到着して、気の知れた人に電話をする。福岡は暑い?なんてセリフに、暑いよ。なんて答える。窓を開けて、福岡の夜景を見よう。

窓の外は、隣のビルの壁だった。問題ない。僕には、気の利いた夜景は必要ないのかもしれないから。

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